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全国高校野球選手権・新潟代表決勝戦 |
熱闘2時間30分・64打席の全記録 新潟市鳥屋野球場上空は夏の青空と白い雲。 この季節特有のレフトからライト方向に吹く強い風は多くの球児を泣き笑いさせる女神様とも呼ばれている。 第86回全国高校野球選手権・歴史的な新潟決戦は、創立以来初の甲子園出場をかけての巻高校と創部17年間で、2度の甲子園出場経験を有する日本文理高校(新潟市)との対戦となった。 在校生・教職員、同窓生や地元巻町など、夢の実現を目指し一塁側アルプススタンドは溢れんばかりの大応援団。 新潟県内・99高校のトップを目指し、巻高のエース篠田恭兵(巻西中)は、これまで5試合で自責点5と絶好調。 一方のエース海津勇太(刈羽中)を擁する日本文理は、自軍の総得点5試合で53を誇る強力打戦。 決勝戦の桧舞台で、高校球児演ずる見応えのある9幕ドラマの熱闘となった。 |
巻高先攻で試合開始 | ||||||||||||||||||||||
第1幕1場・巻高先制得点チャンスの場 | ||||||||||||||||||||||
エース海津の第1球。小林いきなりこれを叩きつけ決勝戦が開始した。 やや高めを打ち返し、ショートが補って1塁送球。この間小林1塁セーフ。先頭打者初球で塁へ出る。巻高は幸先いいスタート。 2番・竹腰弘貴(燕中)、バントの構え。1球目。ボール。2球目。うまく一塁側へ転がし、送りバント成功。「先生ヤッタゾー」と言わんばかりにベンチへ戻りしなにペロリと舌をだす竹越の笑顔。「いいぞ、いいぞ」と笑顔で迎える勝雅史監督。1アウトで小林・2塁へ。 3番・吉田知樹(五十嵐中)。ここまで22打数10安打。海津、初球アウトコースを攻めるストライク。だが2,3球目は制球定まらず1−2とした後の4球目、選球眼の良い吉田、うまく合わせた打球は一塁方向。小林すかさず3塁へ。一塁アウトで2アウト3塁。 巻高早くも得点圏最短距離。しかも次の打者は主砲4番・五十嵐謙一(寺泊中)。168センチ・86キロ。 巻高が誇る強打者登場。ピッチャー海津の1球目。ボール。2球目空振り。早くも巻高応援席は絶叫止まらず。3球目外角攻めストレート。打った。しかしボールはセカンドゴロ。1塁へ送球しスリーアウト。 あと一歩で先制点。巻高3塁残塁、惜しい初回となった。 |
第1幕2場・好投手篠田恭兵・日本文理に得点許さじの場 |
1回裏・エース篠田恭兵これまでに5試合で奪三振52・防御率が1.26. 日本文理・先頭打者、今日までに3ホーマーの柳裕太(東京・石神井中)。左打席への初球。肩に力が入ったかボールは捕手立ちながら真横で補球。2球目ボール。圧巻は3球目。女房役の捕手・五十嵐。ここへとミットを出せば、ズバッと投げ込みストライク。4球目インコース攻め。強打者らしく長く持ったバット。しかしセカンドゴロでワンアウト。篠田ホッとしたのか、フウと頬を膨らませ、右手を高く上げ、人差し指で天を指す。 2番・キャプテン鈴木はバントの構え。3球目。ライト方向へはじく出塁で日本文理の初ヒット。 3番・桑原。篠田、アウトコース決まる。しかし3球目、キャッチャー手前で1バウンドの暴投。捕手バックネットめがけて走る。1塁走者2塁へ。篠田、「すまん」とマウンドでゼスチャー。 桑原、セカンドゴロの間に二走三塁で2アウト三塁。沸く日本文理の応援席。さらに襲い掛かる4番・星。2−1と攻めたがその後決らず初四球。だが5番・富岡の3塁ファウルフライでスリーアウト。 ここまで両校互角勝負での第1幕終了。 |
第2幕1場 日本文理バッテリーの見せ所 |
2回表・巻高の攻撃開始。5番・小山和喜(巻西中)、6番・斉藤達也(岩室中)、7番・相沢晋(岩室中)。決勝戦の初打席でどう立ち向かうか、鳥屋野球場内の歓声でアナウンスの声も消されそう。
しかし、この回、海津は挑戦意欲満々で、打者3人に対し投球数11、その内9球がストライク。第一幕より更にオーバーな捕手のリードと優れた力量・演技に磨きがかかる。 海津はストライクゾーンぎりぎりを狙う。直線18M余りのその先には日本文理・捕手のミットはまだ見えない。球審の膝元あたりが彼のターゲットで有る(らしい)。投球動作に入ると捕手がバッターの目線に入るよう「大きく外す」と見せかけて右に左に移動する。三尺移動と名づけよう。構えは立派な野球規則を遵守され、打者連続三振に終わる。 |
第2幕2場 巻高バッテリーの見せ所 |
2回裏・日本文理の先頭打者・野川、2−2のあと短めのバットでコンパクトに振り三遊間を抜き1塁セーフ。 高めのスライダーだったか。続くバントポーズの今井を三振。8番小林への投球直後、1塁ランナースタート。すかさず捕手・五十嵐謙一2塁へ送球。塁審アウトを宣告。してやったりの五十嵐。大きく右手を上げて2アウトのポーズ。日本文理・ランナー無くし、小林ショートライナー潰されて、スリーアウトで第2幕を終了。 |
第3幕1場 エース対決第一ラウンド |
3回表・先頭打者は篠田。海津と投打に分かれてのエース対決。2人の共通点は右投げ左打。 海津は初球からインコースを狙い捕手の右足手前で連続バウンド。その後も内角狙いで2−2のあと5球目直球・高めがファウルフライとなり3塁手捕ってワンアウト。海津、白い歯みせてにやり。 9番・木村勝一(寺泊中)。チーム1の長打力。1−1のあと快音を響かせボールは左中間へ飛ぶいい当たり。これが先制点をとるきっかけになるかと大歓声どよめく中、センターが前のめりになりながらキャッチする。奇しくもこの瞬間の風はセンターからホーム方向へ。打球は高く上がりすぎ押し戻された。海津又もや苦笑い。 続く1番・小林左打席へ。狙った2球目、ショートへの安打。ショート・今井このボールをこぼし、小林は一塁へ。 2番・竹腰、バッターを短めに持って登場は右方向狙いか。しかしここでも日本文理・バッテリーの技が冴える。アウトコースに構えて撹乱させ、海津きわどくストライク。投球ボールは構えと反対方向へ。竹腰、見逃しの三振でスリーアウト。これで巻高の三振4となる。 |
第3幕2場 タイムリー・スリーベースで先制得点献上の場 |
3回裏・エース対決第2ラウンド。今度は篠田の投球に打者・海津がどう立ち向かう。 篠田恭兵3球ボールは画策か。4球目、海津の打球は三塁強襲。しかしサード竹腰うまく捌きワンアウト。続くバッター日本文理の1番・柳。ボールが3つ先行する。4球目ここで変化球・ストライク。しかし5球目大きく右へ外れ打者の柳は一塁へ。1アウト一塁。 2番・鈴木はバントの構え。ヒットエンドランか。3球目・たたきつけたボールはセカンドゴロで2アウト。走者2塁へ。ここでも落ち着いた様子の好投手・篠田。バッター3番・桑原。1、2球ずばりと決め2−0。どよめく一塁側スタンド。ズシーンと決めたストライクは集音マイクを独り占め。だが続く4球いずれも決まらず四球とし、1、2塁埋まって4番・星が打席に入る。篠田セカンドへけん制。 この時球審はピッチャーへ歩み何やら注意。篠田、帽子をとって神妙にうなずく。試合続行。 初球アウトコースにビシリと決まる。2球目・惜しくもボール。打者・星、3球目真ん中をきっちり振り抜きセンター方向へ。センター、ライト2人で追う。上空は今朝からの強風止まず。右中間で追いついた、と誰もが思い、信じそして願った。しかしボールはグランドを叩きつけまだ転がっている。 この間ランナー2者ホームへなだれ込む。打った星は三塁へ。巻高2点先制された瞬間であった。 次打者・富岡、ファーストフライでスリーアウト。 風は味方せず。かくて決勝戦の先制得点は、日本文理となって三幕終了。 |
第4幕1場 巻高・2本目のヒット生かせるか |
4回表・巻高3番・吉田知樹。1−1のあと変化球をひっかけ、ショートが補球。滑り込んだが1塁アウト。 続く4番・五十嵐。エース対巻高主砲の対決。初球見逃し2球目大振り、体を捻り闘志溢れるフルスイングは宙を切る。2−3のあと内角を狙って振ったバットは快音響く。だが上がりすぎた。レフトゆっくり捕球。インコースを打ち込んだパワーは凄い。巻高早くも2アウト。 5番・小山1−1で3球目。ピッチャー横を抜けセンターまで転がす鋭い当たり、この日2本目の安打で出塁。 6番・斉藤、「バットを水平に構える」特異な構え。塁上の小山の盗塁を補助するスイング。2塁へ走る小山。投げる捕手。セーフ。スコアリングポジションへ。3回の2点をひっくり返すいいチャンス。 しかし斉藤への5球目・変化球、ベースに落ちる球を振ってしまいスリーアウト。得点ならず。 |
第4幕2場 篠田恭兵ピンチきり抜ける |
4回裏・日本文理、早い回に追加得点がほしい。今大会の巻高打線は新発田農業を11対3のコールド勝ち。いつ巻の打線が爆発するか分からない。日本文理ナインは巻に対し強い警戒感。 トップバッターは俊足の6番・野川。2−3の後捕手パスボールで1塁へ。7番・今井はレフトフライ、小林直人うまく裁くファインプレーで1アウト。8番・日本文理の小林バントの構え、2−3でライトライン際へのいい当たり。今度は吉田がファインプレーで2アウト。ランナー1塁動けず。 ここで海津と今日2度目の対決、初球いきなりライト方向へ。俊足野川は3塁セーフ。2アウト1・3塁。 勢いづく日本文理。追加得点のチャンス到来。しかも打席には2年生ながらホームランバッターの1番・柳。好投手・篠田恭平。投球動作に入る。初球、捕手五十嵐、ボールをミットからはじく。今日2回目のバッテリーエラー。 巻高ベンチから杉浦が勝雅史監督の伝令に走る。内野陣はマウンド・ピッチャーのもとに集まる。 投球再開。2−3の後の5球目、決らず。今日5個目の四球となって二死満塁。 続く2番・鈴木初球打ち.高く打ち上げ。レフトがっちり捕球し三者残塁のスリーアウトで4幕終了。 |
第5幕1場 三者凡退・巻高打線いまだ爆発せず |
5回表・日本文理が追加点のないうちに巻高は得点が欲しい。4回までに三振を5個奪った海津だが、反撃にどう耐えられるか。しかし先頭打者・相沢ショートゴロ。続く篠田を三振。木村2−3のあと粘るが最後はピッチャーゴロ。イン・アウトを織り交ぜた日本文理の投球に、三者凡退となってしまった。 |
第5幕2場 2死満塁を捌く巻高 |
5回裏・篠田恭平・この回も快調な投球。3番・桑原へコントロール良く、初球・二球と連続ストライク。
3球目外すのか。打者の桑原、甲子園で3番を打たせたらホームランをも打つ実力。篠田の3球目、引っ張って右中間2ベースヒット。パワー十分だ。4番、星がバントの構え。カウント2−0。ねばる打者、6球目の時である。これまでの投球はアウトコース。今度は内角へ。一瞬騒然とした。 投げたボールは打者のヘルメット・耳のあたりを直撃。うずくまる星。覗き込む球審。何とか歩いて自陣ベンチへ。ここで日本文理は臨時代走。高校規則では、処置の間直前打者で塁に出ていない選手が、本人の回復を待って務めることが出来る。 臨時代走の鈴木が一塁、二塁に桑原。日本文理は進塁画策。 富岡ピッチャー前へのバント成功。これで1アウト二・三塁。 内野は前進バックホーム体制。ここは百戦錬磨の巻高エース。100球目は6番・野川へ外角のコース攻め。2−1から外す構えの捕手五十嵐、限りなくストライクに近いボール球を振らせて見事な三振。 だが次打者・今井へのストライクが決まらず、今日6個目の四球。これで二死満塁となる。再びピンチ。 ここで日本文理の1塁ランナー、スパイク紐が緩み自らタイムを要求。この場面での一呼吸は篠田恭平にどう影響するか。バッター8番・小林。 アウトコース決まらず。0−2.間をとる篠田恭兵。 3球目・真ん中への球はショートライナー。ショート・小山和喜がっちり捕球。ピンチを免れて5幕終了。 |
第6幕1場 巻高3本目のヒット生かせるか |
6回表・巻高打線これで決勝戦打席は3順目。1番・小林直人ファールボールを捕られて1アウト。 2番・竹腰。そろそろ快音が欲しい。初球ストライク。インコースは難しいか。2球目ボール。三球目、直球アウトコースを見事にヒット。待望の金属音は巻高3本目。 期待の3番・吉田。しかし2−1の後高めのボールに手を出しあえなく三振。2アウト。 4番・五十嵐登場。アウト・イン・アウトと自在にコースをつく日本文理の海津。捕手大きくアウトコースの構え。海津すかさず1塁へけん制。やや大きく出ていたランナー竹腰つぶされスリーアウト。巻高6回表までスコアボードにゼロが並ぶ。 |
第6幕2場 3点献上の場 |
6回裏・強風は依然としてレフトからライト方向へ吹き止む気配全くなし。嫌な予感がする。 ピッチャー篠田恭平、打者・海津への初球。インコースを狙いストライク。2球目外れる。1−1直後の3球目。快音とともに白球はレフトへ。捕球体勢のレフト。フェンスを超えるほどでない。しかしこの時又もや想像を絶する天空の風。戻されたボールは失速、レフトの前へ落球。記録は海津の2塁打。湧き上がる3塁側の日本文理。 「飛球は風で押し戻された」。巻高外野陣の脳裏にインプット。日本文理1番・柳が左打席へ。その5球目。ライナー性の打球はセンター方向へ。相沢ボールの行方を追う。「押し戻されるかも、気をつけよう」。だが白球はぐんぐん距離を伸ばし、今度はセンター後方へ落下。ライナー性の打球は揚力が味方した。 これでノーアウト2・3塁。浜風で名高い甲子園の門を叩かんとする者の絶対条件かのように、今年の巻高は「鳥屋野の風」洗礼を受けっぱなしである。日本文理は追加得点願って応援絶叫。 次打者の2番・鈴木初球狙い。真ん中少し高めをヒット、打球はライト方向のポール線上近くへ。やったとばかりに2・3塁ランナー小躍りしながらホームへ。打った鈴木は3塁ベースへ滑り込む。 巻高・13番・杉原有也、勝雅史監督の伝令をもって篠田のもとへ。ノーアウト3塁。得点4対ゼロ。 この後、3番・桑原をライトフライ。4番・星をボールのあと3球ストライク。3個目の三振はさすがの篠田。 しかし5番・富岡を高めで攻め2ストライクのあと、合わせられ、レフト前へ運ばれる。3塁走者ホームへ。打った富岡は二塁打。これで5対ゼロと点差は開く。続く野川初球・セカンドフライを打ち上げる。風のせいか、かなり1塁よりでショートがキャッチしスリーアウトで6幕終了。 |
第7幕1場 巻高ノーアウト満塁絶好のチャンス | ||
5番・小山。2球目、三遊間を抜き今日2本目のヒット。これでノーアウト1塁・2塁。待望の得点圏。 さらに代打金子は期待に応え6球目をたたきつける。日本文理のサード捕球。しかしボールは投げられず。 これで満塁。歓声は大瀑布の如くで大声援が轟きわたる。バッター相沢。気をつけろ。例の得意技が始まるぞ。いつもの「捕手の足を僅かキャッチャーボックスに残し、残りの体は限りなく外にあずける」所作である。 1球目空振り。2球目引っ掛けそして3球目、演技開始。左打者の相沢に対して捕手大げさな左構え。 2−0から「1球遊ぶ」は定石か。だが海津の制球アウトコースぎりぎりのストライク。空振りで3球三振。 続く篠田。振りが大きい1球目。2−2のあと内角を打ち、内野フライに倒れて2アウト。 9番・木村にスライダー攻め。これも2−2のあとアウトコースを空振りでスリーアウト。 巻高ノーアウト満塁のチャンスで得点ならず。 |
第7幕2場 追加得点許さじの場 |
7回裏・篠田の制球力は衰えていない。ピンチに動ぜず、プレッシャーに打ち勝つ大会屈指の好投手。 先頭打者、7番・今井を3球三振で1アウト。だが8番・小林をデッドボール。 海津は送りバント成功でランナー二塁へ。「一発打ってやろう」1番・柳、大振りでその心境は計り知れる。4球目空振り。しかし捕手ボールを後方へパス。バックネット近くへ転がる間、柳は1塁へ駆けみ勢いつけて、まだ送球されないと見るや2塁へ突っ込む。これで二死・2・3塁。これ以上の得点は防がねば。 篠田踏ん張る。4番・鈴木へ2球目変化球。ライトフライに仕留め7幕終了。 |
第8幕1場 反撃のチャンスつかめず溜息の場 |
8回表・終盤の巻高打線、これで早くも4順目。海津の投球は変化球、直球と織り交ぜ熱闘に相応しい。 巻高先頭打者・小林直人、初回ヒットの再来なるかと期待された4球目、見逃しの三振でワンアウト。 2番・竹腰への1球目。サイド直撃のデッドボールで1塁へ。 「ここで俺が得点せねば」3番・吉田、大振り目立つ6球目。残念ながらの空振り三振で2アウト1塁。 ここで登場、4番・五十嵐に期待がかかる。バットをブルンブルンと逞しい。初球ボールのあと、どうだと高めをうまく捕らえ今日一番のスイングか。「レフト後方に入るホームラン」と誰もが信じる。 天高く、ぐんぐん伸びる打球。だが無常にも、風に押し戻されフェンス直前でキャッチされ得点ならず。 5対ゼロの壁は破られないまま守備につく。 |
第8幕2場 3人をきっちり抑えて最終章へ |
8回裏・この回から巻高は捕手・五十嵐がファーストへ、キャプテンの小林竜典がマスクをかぶる。 「早くゲームを終わらせたい」勝っているチームの球児は誰もが同じ事を思う。振り急ぎを利用するか篠田恭兵。 日本文理・中軸打線・桑原ー星ー富岡と果敢に打ってくる。しかし好投手・篠田、ピッチングは健在である。センターフライ、ピッチャーゴロ、そしてショートライナーと何と僅か三球で仕留めて8幕終了。 |
最終幕 カーテンコールは2005年夏に披露 |
9回表・この回で終わらせたくない巻高ナイン。 悠久の風に苦しみ、ある時は鳥屋野の風を味方にし常に代表決戦に絡む実力高として君臨する日本文理。 昨年は決戦の土壇場9回裏、日本文理は中越高に追いついた。今年の巻高、土壇場で追いつく実力十分あり。 逆転の可能性を込めて今日ヒットを2本打っている5番・小山和喜が左バッターボックスに入る。打撃好調・今日2安打の小山に対し高めを攻める海津。1−3。四球を意識した投球の5球目・直球。真ん中。小山、逆らわずうまくセンター前へはじき飛ばし、ノーアウト1塁・逆転チャンスの第1章。 続く打者・金子。代打で7回には塁に出た。バットを短く持った金子への1、2球。ズシリと決まりバット出ず。しかし3・4球目とスライダーをカットした後の5球目は、三遊間を抜く今日連続安打の見事な一撃。大振りしないでこれで良い。ノーアウト1・2塁は逆転チャンスの第2章。勝雅史監督・代打を指名。 代打は右打者・土田佳孝3年生。初球狙ったように体を開きながらも、うまくライト方向への犠牲フライ。二塁にいた小山タッチアップで猛ダッシュ。日本文理・中継ボールを3塁へ送球。だが球はそれている。このままホーム突入か。一旦3塁廻りかけ引き返す小山。 「バックアップはベースの後方両サイド」基礎を叩き込まれている日本文理の守備陣。レフトが絶妙なバックアップで小山は3塁ストップ。ここ迄ワンアウト1・3塁で逆転チャンスの第3章。 篠田恭兵へ打順が廻る。打者としても5割を放つ意地を見せるか。いつもより長い間をとる海津、投げにくそう。初球アウトコースに決まるストライク。仲間の声援・揺れ動く紫のメガホン・2球目。快音なびかせ一撃で打ち上げたボールはレフト方向へ。しかし又もや上がりすぎ。レフトがっちり捕って後が無くなる、2アウト1・3塁。巻高応援スタンドの歓声やまず。 ここで登場・小林竜典。「タアツノリ・タアツノリ」主将への声援に声を枯らす1塁側スタンド。初球外角ストライク決まる。口を大きく開けて気合を入れる海津。捕手珍しく定位置に構える最終章。カウントは1ストライク2ボール。十分な間合いで呼吸を整える日本文理のエース海津勇太。 ここで動いた日本文理・名捕手・小林一輝(田上中)。右打席の小林竜典が目につく極端なまでに右移動。案の定球審めがけて白球走らす4球目。捕手ミットを大きく左に移動、ストライクゾーンで捕球した。 カウント2ストライク2ボール.外角攻めの日本文理バッテリー。海津・決め球となるか渾身の9回2死5球目。アウトコースストレート。キャプテン小林竜典・背番号2.これを見逃しゲームセット。 |
かくして多くの同窓に夢を与えてくれた「県立巻高等学校・野球部」。 大会屈指の好投手・篠田恭兵は、732球で輝かしい準優勝の銀杯を一緒に汗を流した仲間を代表して手にしたのであった。 勝雅史監督。40歳。準決勝で日本文理をそして決勝戦で新発田農業に勝利して甲子園初出場を決めたのは9年前の六日町高校時代。 今、巻高に注ぐ溢れる愛情で球児たちを一段と逞しくしてくれたのであった。 |
「巻タリアンニュース」は巻高校OB生をつなぐネットワーク新聞です。 情報をお寄せ下さい。 送付先:東京・蒲田郵便局私書箱62号(主宰)橋本寛二 メール:makitalian@yahoo.co.jp |
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