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活躍するOB 1954年(昭和29年)卒業 棚橋かうさん Artist Kou Tanahashi |
モダン・うるし・アートとの出会い | ||||
「知的・刺激的で芸術性の高い世界に没頭したい」子育ても一段落のある時期、棚橋かう(旧姓・解良)さんは出来る事なら万人向きでなく、人があまりやらない、少し違った事をやりたいとも思っていた。 女性を照準としたカルチャー教室が隆盛する初期の頃である。 当時、油彩画家として活躍していた、ゆさみどり(03年没)が合成うるしによる新技法を開発し、その普及に励んでおり渋谷の東急セミナーBEでモダン・うるし・アートの講座を開設。ここで彼女と出会い、初めて「合成うるし」の世界を知った。 本漆と違って、原料にカシューの樹液を使用した合成顔料でかぶれる心配はなく、それでいて出来映えは華やかである。 当初はクラフト、アクセサリーなどの小物から入り、やがては漆絵で50号の大作を制作。自らも講師として教室を開設し、自身は鎌倉彫や陶芸を加えた作品の制作に勤しんでいる。 |
盆・香合類は一般的な鎌倉彫の中では頻繁に目にする事が出来る。だがこの写真を「鎌倉彫のジャンル」で展示したら訪れた人達を驚愕させ、発想・デザイン・艶で圧倒されるに違いない。 写真右の花差し部分は陶器で焼き上げ、釉薬で偶然にもこの色に なったというが、計算しつくしてもこの偶然は生まれてこない。これを鎌倉彫と合体させ見事な創作漆アートの花器が完成した。 |
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深み有る艶は棚橋作品の魅力のひとつ。 この表現が最も似合う作品群。 |
豊 熟 平成12年制作(F30) | |
普段何気ない日常の素材を漆絵技法で表現するとこうなるのかと思わず立ち止まってしまう。 「豊熟」は、京都展・美奏に出展される。 |
二人の古希展 2006年9/30〜10/4 |
「暮らしにアートの温もりを求めて」と棚橋弘・かう夫妻が企画した「二人の古希展」は、文字どおり共に健康な古希を迎えられた喜びを称え、漆絵とこれまでに制作してきた数多くの陶芸作品・鎌倉彫やアクセサリー類を一堂に展示した、思い出となる個展となった。 壽泉堂画廊(大田区田園調布)には、友人・生徒や巻高同窓生らが多勢訪れ、モダン漆アートの技法などを熱心に質問、作品に魅了。棚橋かうさんとほぼ同時期に陶芸制作を始めたという夫の弘氏は、20年のキャリアはこれからですと謙遜しながら、懇切に来訪者の応対をし、自らの作品を説明しておられた。 |
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(文中一部敬称略) |
掲載した作品紹介は作者のモチーフをお聞きし、主宰者の視点で表現したものです。 各地の美術館で棚橋かうさんの作品を鑑賞され、漆絵技法の真髄をご堪能下さい。 |
「巻タリアンニュース」は巻高校OB生をつなぐネットワーク新聞です。 情報をお寄せ下さい。 送付先:東京・蒲田郵便局私書箱62号(主宰)橋本寛二 メール:makitalian@yahoo.co.jp |
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