巻タリアンニュース 第7号
活躍するOB昭和29年(1954年)卒
郷人組織・東京分水会会長 村上昭治さん

 同窓会・同期会・OB会、出身母体で、集いは無限に誕生する。県人会は、現在の居住地域を優先させた、同一出身県人が組織し、 更に、出身町村が同じであれば、もっと身近な者同士での話が弾む。ここに、郷里を共にする人たちの集まり、「郷人会」が誕生した。首都圏には、新潟県の郷人会が100を超え、巻高OBの参加も多い。東京分水会は、同窓生、村上昭治さんが率いる郷人会である。
 良寛の里・国上出身の村上さんは少年の頃から、物事を数理的思考で考え、分析する事が得意であった。高校時代の授業は、難なくこなし、物理・数学は特に好んだ学科で、数式で解く面白さの虜になっていた。好きな理数系での最高学府に身をおきたいと、自らの決断で「東京工業大学」への夢を実現させた。「東大受験」をずっと説得し続けていた担任には、すまない気もしたが、自分の意志は変わらなかった。
NHK放送技術局長時代は
全国3500人近い技術者の
統括・管理が職責であった。
 社会に巣立った昭和30年代前半は、先端となる放送機器と技術を理解できる人材が、極端に少なく、NHK(日本放送協会)へ技師として入局。著しく進展する、番組制作技術を極める、放送技術人の誕生である。これが、後のNHK放送技術局長への第一歩でもあった。
 同級生で、放送業界に生きている者は俺だけだろうと、29年度OBの同期会へ出席してみた。そこには、TBS(東京放送)アナウンサーとしての、池田孝一郎(巻町)が、同じ思いで級友と談笑していた。
(池田孝一郎氏は、巻タリアン10月号「歌舞伎町・ふる里祭り特集号」で登場予定)


2003年は、地上デジタル放送が開始する。米国製から国産へと歩み出した1953年には、国上の科学好き少年は、進む道を決めていた。


海老沢NHK会長(中央)と
展覧会のテープカットする村上さん
(写真左)

村上さんのNHK入局1年目、1958年に開発された純国産のカラーTVカメラ1号機(写真左)。右は原型となった輸入機。やがて、小型軽量化へと開発が進み、音声技術と同時進行で、番組制作は、機動力のある「生中継」が要求され始めた

 渋谷のNHK放送センターで、毎年開催されている「番組技術展」、今年は、南極のTVカメラを、東京で遠隔操作する実演が行われた。放送番組の制作に携わっている、各局の技術者、関連メーカーは、独創的な機器・技術を、この展示会で同業者に評価してもらう。

郷人会「東京分水会」で活躍する巻高同窓生
東京分水会の集いは、6月15日、御茶ノ水「ホテル聚楽」で開催された。村上会長をはじめ、巻高OBの顔が多数見られ、企画・運営に携わる。会員数245名は、地蔵堂,大河津、島上、四筒村、中島、笈砂及び国上の各会がそれぞれの組織を作って、郷人会として構成している。
2年後に予想される、分水町と寺泊そして弥彦との町村合併実現時には、かって、地蔵堂・国上・島上の合併で「分水町」が誕生した如く、半世紀ぶりに、新組織が誕生する。

「私の同期生を紹介しましょう」と集まってくれた昭和29年度卒業生。写真左より、登石・渋木・村上会長・棚橋・早川・田中の各氏(敬称略)。田中公一分水町商工会長(写真右端)は、地元から来賓参加し、杯を高々と上げ、乾杯の音頭をとり、一同懇親パーティに爆入した。


小林挌男(写真左)平出英夫の両氏(34年及び36年度卒)、会の運営に奔走している

郷人会の名物は大抽選会。今年の特別賞品は、将棋名人の書であった。
15年度特別賞
名誉町民・原田泰夫(将棋九段)書
「山、雲、海、月」の情
自然界では、各々独立してはいるが、たまには集まり、懇親の宴を交わし情けを深め合う事は良き事なり。

分水町の小林清町長(中央)は、ご当地ソング「分水しぐれ」を熱唱。「岩の苔道 国上の山よ 行けばしぐれる 五合庵」ふるさと賛歌を朗々と唄い、場内の熱い声援を受け、最高調を迎えた。

巻高同窓生が参加している主な郷人会
※は会長または副会長が巻高OBの郷人会
郷人会員は大部分が新潟県人会に所属しており、
その集いを合計すると、毎週どこかで開催している事になる。

東京えちご巻町会 東京中之島会 首都圏安田会
東京白根会 東京三条会 東京つきがた会
東京分水会 赤塚郷人会 東京潟東会
首都圏えちご吉田会 東京新潟西川会 首都圏わしま会
東京弥彦村人会 東京中之口会 東京出雲崎会
東京寺泊会 東京味方会 東京岩室会(10月設立予定)

 構成人員650名を超える東京松之山会、中学校の同窓会と合同開催をする東京弥彦会、
250名以上も参加するパーティーを開催する、東京出雲崎会など、特色様々であるが、各郷人会とも、
運営に若い年齢層を参加させたり、ヤング郷人会を作ったりと、独自の工夫を凝らして組織を運営している。
郷人会・もう一つの楽しみ 文化講演会
 郷人会は、旧知の人達の懇親だけで終わる事無く、ふるさと交流と文化的な楽しみも要求される。 東京分水会は、毎年有意義で、印象深い講演会を企画しており、講演者も自然と熱を入れ真剣になる。同じ郷土人だけに、充分な検証に基づき、より精緻に伝えないと、聴き手として納得してくれない。
 OHPを使用し、近年発見された資料なども見せながらの歴史検証。
「繰り返し発生する洪水被害は、作物や物質の流損失のみならず、蒲原平野特有の凹地が起因し、マラリアなど伝染病の大発生を余儀なくし、これが、他県・南国での水害と根本的に異なり、越後の社会問題を生じ、10キロ先にある、寺泊海岸までの治水工事実現へとつながった」と大河津分水への道を講演。会場では、馴染みの地名が出る度に、先人のたどった開拓精神と、労を振り返り、深く感激するばかりであった。
 通水から83年、寺泊の中央海岸は、かつての「海」が「浜」になり、スカシガニの住処を追いやってしまったが。

記念講演・講師
「大河津分水への道ーー先人の足跡を歩く」を史実解説した、信濃川大河津資料館館長
五百川(いおかわ)清氏

信濃川大河津資料館
館内は、治水事業への歩みとその役割に関する貴重な資料がテーマ別に展示されており、「洪水シュミレーション」では自然の恐怖を、ビジュアルに擬似体験する事が出来る。
開館時間:9:00〜16:00
入館料 :無料
休館日   :月曜(祭日を除く)
URL :http://ohkouzu.jp

■信濃川大河津資料館:新潟県分水町5千石

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